熱傷の外科治療について(DDB~DB)【勉強】

2019/04/04

 


✅はじめに


外科治療前の初期対応や、保存加療については以下投稿を参考に。



✅熱傷治療についての一般論


臨床的にはSDBなのか!DDBなのか!これが大事!
なぜならここで予後がめちゃくちゃ異なるから!

SB~SDBまでは軟膏塗布などによる保存的加療!自宅から通院だけで比較的綺麗になる!
DDB~DBは基本的に皮膚の再生が見込めないので植皮等の外科療法!つまり入院!手術!

でもSDBとDDBを受傷直後に見分けるのはとっても難しい!しかも熱傷の深さは変化しうる!ので受傷後のクーリング+SDB以下の軽傷症例であっても数日は経過を見るのがよい。

これを踏まえてDDB~DBの外科的療法についてお勉強するぅ。


✅急性期加療


・減張切開/焼痂切開

DDB~DBのような深い熱傷では皮膚の伸展性が失われる。
これを背景に熱傷による急性期の浮腫が生じると組織内圧が高まり、コンパートメント症候群による末梢循環不全や神経障害を生じる可能性がある。

この場合は受傷後可能な限り早期に減張切開を検討する。
例えば手部で全周性にDDB~DB熱傷でコンパートメント症候群を疑った場合、切開する面は手背側、指部分では側正中線を切開する。
切開の深さの目安としては正常脂肪が露出するまで。熱傷の深さ次第で筋膜まで切開を検討する。

ちなみに『焼痂切開』は『しょうかせっかい』で合ってます。初めて知った。


・jackson's burn modelとTangential Excisionによるデブリードマン

jackson's burn modelでは

DDBを凝固帯(zone og coagulation)、うっ血帯(zone of stasis)、充血帯(zone of hyperemia)に分類する
DDBではうっ血帯→凝固帯へと変化が生じる(7日~)ためこれにより壊死が深部組織へと拡大してしまう。これを防止するために既存の凝固帯をデブリードマンにより切除して壊死の進行を食い止める。

Tangential Excisionとは

受傷後3~5日目に熱傷による壊死組織に対して創面との接線方向に(ざっくり言うと元々あった皮膚と平行に)生存部と壊死部の境界まで切除を行う手技を『Tangential Excision』と呼ぶ。
カミソリなどを使用して削ぐように組織をデブリすることで壊死の拡大予防が期待できる。
壊死組織が除去できていれば、正常組織からの点状出血が見られるようになるはず。

デブリードマン後は3000倍エピネフリンに浸した包帯を患肢に巻いて圧迫止血を行う。10分程度止血を行った後、中枢側側から包帯を剥がしながら電気メスで止血を行う。
※表皮は欠損するので後日植皮がほぼ必須になる。

・人工真皮/表皮の使用


熱傷に伴うデブリードマンにより骨や腱が露出した場合は人工真皮や自家培養表皮を使用することがある。
ここはどっちかいえば再建とかの分野で改めて勉強する予定。
DDB以上の熱傷に適応がある植皮についても一緒に勉強。

ちなみに自家培養表皮の保険適応はⅡ度およびⅢ度熱傷の総面積が体表面積の30%以上。
培養のために患者の正常皮膚を1~12cm2全層で採取し、(J=TECに)培養を依頼する。



✅特殊部位(手指熱傷)の急性期治療

・手背


解剖学的特徴:皮膚が柔らかく、薄く、しなやかで可動性に富む。一方で皮下脂肪に乏しく、皮膚直下に伸筋腱、骨、関節などの構造物がある。
→熱傷で皮膚のみならずこれらの構造にダメージが入ることが想像される。
壊死の拡大で容易に腱組織等が損傷されうるのでデブリードマンはより早期から検討する。

・手掌


解剖学的特徴:厚い(2mm程度)の厚い角質層および透明帯。エクリン腺の分布が豊富で創傷治癒が良好。皮下脂肪も厚く手掌腱膜で保護されているため腱や骨に熱傷の損傷が至ることは稀。

・小児


触れてはいけない物の区別が付かないことから、何でも触れようとした結果の手掌の熱傷が多い。また逃避行動が十分に発達していないことに起因して深部まで熱傷が至ることが多い。



✅まとめ


急性期さえ脱してしまえば『熱傷として』の外科治療ではなく、組織欠損や瘢痕形成に対する治療に移行するので、やはり熱傷に対する外科治療は
・壊死の拡大を防ぐためのデブリードマン
・末梢循環を保つための減張切開

が主になりそうな感じですね。慢性期は褥瘡とかでできた潰瘍形成と似たような治療になりそう。

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