植皮の一般論【勉強】

2019/04/09

  


✅植皮についての一般論


植皮は①全層植皮 と②分層植皮 の2種類に大別される。③として分層植皮の応用である網状植皮術も選択可能。

✅①全層植皮


全層植皮は文字通り皮膚を全層で移植する。
ここで言うところの『全層』とは皮膚表面の表皮から真皮層までのことをいい、下の皮下脂肪は含まない。真皮を全て含んで植皮するため。腺構造や毛を伴ったまま患部に移植される。

患部:整容面・可動性に優れる。一方で分層植皮と比較して生着しにくい。
採皮部:一期的に縫縮可能。痛みに強く術後の瘢痕を抑えられるが、採皮量に限界がある。

✅②分層植皮


分層植皮は表皮+真皮の一部を移植する。この際、どの程度真皮を残すかは症例に酔って異なる。比較的厚めに真皮層を残して採皮する『厚い』分層植皮から、表皮とわずかな真皮層を採皮して移植する『薄い』分層植皮まで様々。『厚い』分層植皮ほど移植先で全層植皮に近い性質(可動性,瘢痕耐性↑,生着率↓)を得る。

患部:生着率が高く広範囲の植皮が可能。感染にも比較的強い。一方瘢痕形成しやすい。
採皮部:比較的大量に採皮可能であるが、上皮化まで被覆材・軟膏処置が必要。痛みが強く術後瘢痕も強い。整容面で劣る。

✅③網状植皮


網状植皮は分層植皮で採皮した組織をメッシャーで網目状にして植皮する。これにより同じ採皮範囲からより広い植皮を行うことができ、かつ移植床と採皮組織との間に浸出液や血液がたまる不安が軽減され、より高い生着率が得られる。
分層植皮でもなお面積に余裕がないほどの(採皮部分に対して相対的に)広範囲の欠損や、皮膚欠損部分に感染が残存し、より強いドレナージ効果を持たせたい時に選択される。

患部:分層植皮より更に生着率が高く広範囲の植皮が可能。ドレナージ効果高く感染にも強い。一方網目状の瘢痕形成となり整容面で最も劣る。
採皮部:大量に採皮可能であるが、上皮化まで被覆材・軟膏処置が必要。分層植皮同様痛みが強く術後瘢痕も強い。整容面で劣る。

✅採皮部位について


採皮部位は様々、全層植皮であれば術後創部を縫縮するため生理的に皮膚余剰が生じている場所、具体的には下腹部(そけい部)

✅手技について


は、また今度。長くなる予感しかしないから。

✅まとめ:植皮方法の比較

生着率

網状植皮>分層植皮>全層植皮

移植範囲

網状植皮>分層植皮>全層植皮

感染耐性

網状植皮>分層植皮>全層植皮

瘢痕・拘縮耐性

全層植皮>分層植皮>網状植皮

整容面(採皮部) ※

全層植皮>分層植皮=網状植皮

整容面(移植先)

全層植皮>分層植皮>網状植皮

可動性

全層植皮>分層植皮>網状植皮

疼痛コントロール・創部処置

全層植皮>分層植皮=網状植皮

※採皮部に対して欠損部の面積が相対的に余裕がある場合に限るが、全層で組織採取した後に分層化することで分層植皮の欠点である採皮部の整容面を全層植皮と同等にすることができる。

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