レーザーの実践【勉強】

2019/04/12

  

✅レーザー光の特徴

前回投稿:【勉強】レーザーについて【美容/皮膚/形成外科】
ではレーザーの発生から共振までのプロセスを勉強しました。

このようなプロセスを経て生じた光には
①指向性:ほぼ直進する
②単色性:波長が単一
③可干渉性:位相が単一(山と谷が揃っている)

…といった特徴が得られるんでした。

Q:レーザーを当てるとどうしてシミが消えるのか

前回書き忘れた基本のきの部分。
レーザーは特殊ではありますが、あくまで光の一種。光を当てるとシミが消える…不思議に思うのは僕だけではないハズ。

A:光吸収時に生じる熱により対象を破壊する

レーザーは上記特性を生かして特定の物質にだけEnergyを与えて放射熱を発生させる点がミソです。これによりピンポイントで破壊したい物質だけが加熱され破壊されます。
シミならメラニンが過熱により破壊されることで改善が見込めます。

✅個体レーザーについて(ex.Qスイッチルビーレーザー)

Q:『ルビーレーザー』や『アレキサンドライトレーザー』が良くわからない

CO2レーザーとかは単一の物質だからこれまでの話がまぁわからんでもないんだけど?
ルビーってこう、いろんなもん混じった結果の鉱物なので(酸化アルミニウム+α)。これまでの話と結構違う気がする…。

A:レーザーを発するのは不純物(ルビーならクロム)!

固体レーザーは母材部分と動作原子部分に分けて考えます。
例えばルビー(Al2O3 + Cr3+)レーザーなら実際にレーザー光を発するのは動作原子であるCr3+であり、母材であるAl2O3部分はエネルギーを与えるための光と生じたレーザー光を透過しているだけの物質!


✅レーザー光の波長

動作原子により固有の揃った波長を持つレーザー光はその波長により吸収されやすい物質などがかなりはっきり出る。

自分は高校物理の時間で習ったような覚えがありますが、読者の方は海がどうして青く見えるのか覚えてますかね?
水は赤色に近い(波長の長い)光をよく吸収し、青色に近い(波長の短い)光はあまり吸収しないから大量に水が集まると青く見えるんです。

これは水だけでなく、物質には吸収しやすい波長の光と吸収しにくい波長の光があります。これが実践では大事です。

✅レーザー光の実践

Q:レーザーの種類はいっぱい。使い分けはどうしたらいいのか?

皮膚科/形成外科/美容領域で用いられるレーザーは
CO2レーザー/Qスイッチルビーレーザーなど様々。じゃこれをどう使い分けるのか

A:レーザー光の波長が…①対象物質に吸収されやすいこと+②非対象物質に吸収されにくいことが大事

レーザー治療の最大のメリットは周辺組織へのダメージを抑え、対象組織だけを選択的に破壊すること!
動作原子により固有の揃った波長を持つレーザー光は物質毎の吸収しやすい波長の特性に強く影響を受ける。

ルビー(酸化アルミニウム+クロム)レーザー

①動作原子はクロム!(Cr3+:固体)
②波長は694.3nm(短い)

二酸化炭素(CO2)レーザー

①動作分子は二酸化炭素!(CO2:気体)
②波長は10600nm(長い)

この2つのレーザーの特徴を頭に入れた上で
(どこから拾ったか不明ですが)各種物質の光吸収率をみてみると



レーザー治療との対象となる疾患の代表はメラニン性疾患、周囲の正常組織は水を含むと考えて
ルビーレーザーの波長は694.3nm、CO2レーザーの波長は10600nmなので
メラニンは600nm~くらいにピーク
→色素性の疾患にはルビーレーザーの波長が適する。

水は波長が長いほどよい
→表面を削り取る場合はCO2レーザーの波長が適する。

ことがわかります。


✅まとめ

目的にする物質(例:メラニン色素)の吸収率が高く、その他の周囲組織(例:水)の吸収率が低ければレーザー光のエネルギーは多くが目的物質に吸収される

目的物質が放射熱により選択的に加熱され、熱破壊を生じる。
表層の組織へのダメージを抑えつつ、奥にある対象だけを破壊できる!


✅おまけ:熱伝導について

熱の伝わり方には
対流熱
伝導熱
放射熱
があり、これが3大加熱と呼ばれるものです。

対流熱
対流熱は、流体(気体または液体)を介して加熱する方法。蒸したり茹でたりするのはこの対流熱による加熱です。

伝導熱
伝導熱は、実際に物質同士を触れあわせて熱を伝える方法。鉄板焼きとかが当てはあります。

放射熱
放射熱は赤外線によって物質を直接加熱する方法。要はオーブン。(電子レンジは電磁波であるマイクロ波なのでちょっと違う)

レーザーを扱う上で重要なのはお察しの通り、放射熱。

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