局所麻酔の使い方【勉強】

2019/04/06

 



✅局所麻酔の種類


①キシロカイン(リドカイン塩酸塩)


商品名:キシロカイン

一般名:リドカイン塩酸塩

持続時間:60分程度

組織浸透性がよく、作用発現が速いが持続時間は短め。局所麻酔といえばこれが1stに浮かんでくる薬剤。表面麻酔や浸潤麻酔にて0.5~2.0%程度の濃度で使用されます。

キシロカインのみのものと、エピネフリンを混ぜて末梢血管を収縮させることで出血を抑えられる、所謂『E入り』キシロカインを使い分けて使用します。出血を抑える以外にも吸収を抑えることで血中濃度の急激な上昇を抑え、合わせて作用時間の延長が見込めるメリットも。

一方で抹消血管収縮に伴い虚血を引き起こすため、終動脈付近での仕様は禁忌
具体的には指趾、耳介、陰茎等での使用が禁忌です。

→とされていたんですが、2020年12月21日の厚労省通知において、慎重投与に切り替わった様子。


②アナペイン(ロピバカイン塩酸塩)


商品名:アナペイン

一般名:ロピバカイン塩酸塩

持続時間:10時間程度

単独、又はキシロカインと併用される。10時間程度持続する麻酔薬。

どちらかといえば術後に使われる印象ですね。


③プロピトカイン


商品名:エムラクリーム ※

一般名:プロピトカイン(+リドカイン)

持続時間:10時間程度

単独ではなく、リドカイン+プロピトカイン配合クリーム(エムラクリーム)として塗布して使用される薬剤ですね。皮膚からの浸透、吸収に優れ、主にレーザー処置前の麻酔で使用しています。

【成人】
通常、成人には、レーザー照射予定部位又は注射針・静脈留置針穿刺予定部位に

10cm2あたり本剤1gを、密封法(ODT)により60分間塗布する。
なお、1回あたりの塗布量は10gまでとし、塗布時間は120分を超えないこと。


【小児】

通常、小児等には、レーザー照射予定部位又は注射針・静脈留置針穿刺予定部位に

10cm2あたり本剤1gを、密封法(ODT)により60分間塗布する。なお、1回あたりの塗

布量及び塗布時間は下表を超えないこと。


エムラクリーム 適正使用ガイドより引用



✅キシロカインの極量について


添付文書(1%キシロカインポリアンプ)上では

リドカイン塩酸塩として、1回200mgを基準最高用量とする

とされています(成人)。

つまり、1%キシロカインポリアンプ1管(概ね10mLが多いかな)では

10mL=10g 中の 1% なので

10g ✕ 0.01 = 0.1g = 100mg のキシロカインが含まれます。

つまり1mL中には10mgのキシロカインが含まれているので、成人に対して1%キシロカインは20mLまで使用可能ということになり、同様に0.5%なら40mL、2%なら10mLまでは概ね使用可能です。


キシロカインの極量を体重ベースで4-5mg/kgまでとされている本もあり、これを60kg男性に当てはめると240mg~300mgまで。つまり1%キシロカインを24mL~30mLまで使用することができることになりますね。


✅キシロカインの濃度とエピネフリンの量の関係


先程の例は『E無し』のキシロカインだったので、次は所謂『E入り』キシロカインの扱いについて

E入りキシロカインのキシロカインの量とエピネフリンの量は、それぞれ

・0.5%

キシロカイン5mg/mL エピネフリン0.01mg/mL(=10μg/mL)

・1.0%

キシロカイン10mg/mL エピネフリン0.01mg/mL(=10μg/mL)

・2.0%

キシロカイン20mg/mL エピネフリン0.0125mg/mL(=12.5μg/mL)


2%のみエピネフリンの含有割合が違うことがわかる。(0.5%,1.0%の含有率の1.25倍)

商品名も

キシロカイン注射液「0.5%」エピレナミン(1:100,000)含有

キシロカイン注射液「1%」エピレナミン(1:100,000)含有

キシロカイン注射液「2%」エピレナミン(1:80,000)含有

このようになっており、2%のみ濃度が違うんですね。
よく言われるxx万倍ボスミン(アドレナリン,エピネフリン)で言うと…

10万倍ボスミン1mL(1g)中には

1g/100000=0.00001g=0.01mg=10μg

のボスミン(エピネフリン)が含まれるので

0.5%および1.0%は所謂10万倍ボスミンと同等、2%は8万倍ボスミンと同等になります。


0.5%と1.0%は倍希釈することで20万倍のボスミン生食と同等になるので耳鼻科や脳外科領域で使われることがある?らしい?


✅E入りキシロカインの極量について

E入りではキシロカイン吸収速度を遅らせ、作用時間延長作用が見込まれます。つまり一度に投与する量を増加させても、吸収量がE無しと比較して抑えられるんですね。

先に
キシロカインの極量を体重ベースで4-5mg/kgまでと書きましたが

E入キシロカインの極量は、少し増えて体重ベースで7mg/kgまでとすることが多いみたいです。

E入りなら先程の60kg男性に420mgまで、つまり1%キシロカインを42mLまで使用することができることになりますね。


✅備考:ボスミン側の極量

%が上がるほどキシロカインベースでのエピネフリン含有量は減ります。


エピネフリンは吸気麻酔などと併用する際は極量(心室細動を誘発する量)を意識しなければならないので、0.5%などのキシロカイン量に対してエピネフリン量多い製剤を使う時は注意が必要です。



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