健康行動理論/行動科学

2022/03/20

 



✅行動科学とは


-行動科学の定義-

行動科学:行動の予測と制御のための学際領域

客観的に観察可能な行動と主観的な内的状態(態度・信念など)、社会的関係を測定および分析する
学際領域なので他分野から成る領域である。


-参考:行動医学-


健康と疾病に関する審理社会科学的、行動科学的および医学生物学的知見と技術を統合した知識と技術を病院の解明と疾病の予防、診断、治療及びリハビリテーションに応用する学際的学術

個人と社会性などを総合的に評価する点で行動医学とはほぼ同じではあるものの、特に治療などに応用する点で異なる。


✅行動理論


行動理論:条件付、随伴性、機能分析、社会的学習、自己効力感

・レスポンデント条件付け


元々特に関係ない刺激(中性刺激)と生理的反応(無条件刺激→無条件反応)の連合の結果として
中性刺激でも反応が生じる(条件刺激→条件反応)が得られること。

→例:パブロフの犬 ベルの音(中性刺激)が無条件刺激(餌)と同時に与えられ連合(学習)することで中性刺激で無条件反応(唾液の分泌)が生じるようになる(条件刺激-条件反応)

・オペラント条件づけ


目的的な行動の学習についての条件付け
自発的に生じた行動(オペラント行動)に対して弁別刺激or強化刺激を随伴させることで行動頻度や行動内容を変化させる条件付け。

刺激の弁別:『般化』とも。類似した刺激にも同様の反応を示すように刺激の種類が広がる。

刺激の分化強化:単に『分化』とも。特定の刺激のときのみ反応を示すように刺激の種類が狭まる。

弁別の例
→ニコチンが切れる(ストレス)とタバコが吸いたくなる。同じようにストレスになる会議前にタバコを吸うようにすると会議前にタバコが吸いたくなる。

分化強化の例

-ABCDEモデル 機能分析-


確率操作(Establishing Operation)
先行刺激(Antecedent)→行動(Behavior)→結果(Consequence) or 長期的結果(Delayed outcome)

どのようなプロセスで行動に至っているのかの流れを評価する。



・行動の『随伴性』


オペラント条件づけにおける強化/弱化
『強化』→行動が増える反応
『弱化』→行動が減る反応

それぞれ行動の正負(正:行動によって獲得する/負:行動によって回避する)に対して行われることに分けて

正の強化

→望ましい結果を得て行動が増加する
例:勉強するとゲーム機が買ってもらえるので勉強頻度が増加する

負の強化

→望ましくない結果を回避して行動が増加する
例:ゲーム機を取り上げられないように勉強頻度が増加する

正の弱化

→望ましくない結果を獲得してその行動が低下する
例:ゲーム機を取り上げられるのでゲーム頻度が低下する

負の弱化

→望ましい結果を回避してその行動が低下する
例:ゲーム機を取り上げられないようにゲーム頻度が低下する

ここに
報酬の大きさ
時間軸

が影響する。
-報酬の大きさ-
基本的に大報酬であればあるほど

-時間軸-
客観的価値が変化しなくても(例:報酬金額)主観的価値は得られるまでの時間に反比例して減少する(双曲割引)
短期報酬であればあるほど行動を促進する



✅社会的学習理論



観察学習


定義:モデルの観察による行動の獲得

注意:モデルの行動を観察
保持:観察した行動を記憶
運動再生:観察した行動を実行
動機づけ:実行した行動を獲得


自己効力感


定義:行動を適切に実行できるという認知

-効力予期-
『実際の行動』
-結果予期-
『結果』

効力予期および結果予期両方の結果により受ける影響は

効力予期○/結果予期○(行動はできそうで結果も出そう)→自信や積極性

効力予期○/結果予期✕(行動はできそうだが結果はでなさそう)→挑戦、抗議、不満

効力予期✕/結果予期○(結果は出そうだが自分には実行できなさそう)→落胆、劣等感、失望、自己卑下

効力予期✕/結果予期✕(結果は出なさそうだし自分には実行できなさそう)→無気力、無関心、諦め、無感動

このように学習内容が変化する。



✅認知行動療法


認知行動療法の誤解


『認知』:マイナス思考、ネガティブ解釈 を
『認知』:プラス思考、ポジティブ解釈 に変える訳では無い。


正確な認知行動療法


『認知』:マイナス思考、ネガティブ解釈 の非適応的側面を理解し
『認知』:プラス思考、ポジティブ解釈 適応的な認知の納得感を高めて認知の柔軟性を改善する。

こちらが正しい。

これを実現するために
オペラント条件づけなどを応用する。

-注意-

現場で問題行動が生じてそれに対して認知行動療法を行う場合
認知行動療法は中長期的な解決策。まずは現場での問題解決が先。

例:パワハラが生じている場合、中長期的な改善のために認知行動療法は有効。しかし先に行うのは会社としてパワハラを許容できないことを示し現場の問題を解決すること。



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