あまりスマートフォンに詳しくない人向けSoCの見方(2018年10月版)

2018/11/01

☑イントロ

前回投稿:スナドラ600系の性能について
が地味にアクセスを多くいただいてるのは、ある程度成熟したスマートフォン市場において必ずしもハイエンドの端末を持つ必要がないという考えを持つようになった方が増えてきた証だと考えています。(まさかType-C端末まとめよりこっちのがアクセス増えるとは思ってもみなかった)

ただ前回投稿の最期でも書いたように、自分としては「最新の6xxと型落ち8xxなら型落ち8xx端末を選ぶ」が基本的なスタンスです。

ただ2018年、6xx系と8xx系の間を埋めるべく、QualcommはSnapdragonに700番というシリーズを追加してきました。

それだけでなく、完全にSnapdragonを抜き去るAppleのA12 Bionicの登場やHUAWEIに搭載されるHisilicon製のKirinシリーズの性能向上、とベンチチーティング。そして置き去りを食らうMediaTekとHelioXシリーズとSoCの世界はかなり激しく動いたように思います

そこで改めてミッドレンジのSoCに目を向けて、その性能とどう向き合うか考えてみたいと思います。

SamsungのExynosシリーズも優秀ですが、これを購入するような人はこんな素人の記事よまないだろうという勝手な判断で除外します。個人的には1度買ってみたいなぁと思うくらいには高く評価しています。

☑Qualcomm-600番台の性能向上めざましく、加えて700番台も投入

まずはQualcomm。
前回書いたSnapdragonにおける4つのストリームに新しく700番台が追加されました。

Snapdragon 8xx(800,801,805.808,810,820,821,835,845)
Snapdragon 7xx(710,730)←NEW
Snapdragon 6xx(600,610,615,616,617,625,626,630,632,636,650,652,653,660,670)
Snapdragon 4xx(400,410,412,415,425,427,430,435,450)
Snapdragon 2xx(200,205,208,210,212)

A12Bionicにこそ抜かれたものの、Android搭載の中では依然盤石の845を軸に、660や710など十分高性能と言えるミッドハイSoCを投入しています。今年もやはりSoCの中心はQualcommでした。

☑HUAWEI-ハイエンド市場での躍進とベンチチート発覚-

novaシリーズも廉価ながら縦長ディスプレイにデュアルレンズカメラとかなり格安スマホ市場で存在感を放っていましたがP20シリーズはそれ以上でしたね。Kirin659による3万弱端末とは思えない処理性能とデュアルレンズカメラ、縦長ディスプレイ、センスのいい筐体と低価格帯スマホ市場を蹂躙。ハイエンド市場ではP20Proがトリプルレンズでズームも深度測定もできるカメラをぶち込んできて存在感を増し、そしてSoCの世界では次世代KirinであるKirin980がSnapDragon845を上回ると豪語、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったのですが…

ITmediaさんのこの記事が詳しいです。所謂ベンチチートを行っていたことが判明してしまいました
Huaweiの「P20 Pro」など、3DMarkのランキングから削除 禁止の最適化発覚で

これを受け現在HUAWEIの最上位SoCであるKirin 970を搭載した「P20」「P20 Pro」「honor Play」「nova 3」がベンチマークソフトのランキングから除外されています。
フィンランドUL Benchmarksが公表した数値によると、ベンチチートを行っていない状態で行った3DMarkのスコアはこれまで信じられていた(≓ベンチチートを行っていた状態の)数値の2/3~半分程度しか出ないことになっています。

HUAWEIとしてはこのチートモードをユーザー側で任意に実行できるようにするとのことですが、ユーザー側で実行すればその間の発熱、バッテリー持ちの悪化は必至。少なくとも販売時点で多用を想定していないモードなので端末そのものの寿命を縮めかねないモードをこちらで十分に使えるとは考えにくいので(自作PC界隈における限界までOCした状態で常用するようなものです、あり得ない)、Kirinシリーズの性能には(少なくとも最上位である970については)現状出回っているベンチマークが常用時には全く当てにならないと考えた方が無難です。

今のところKirin6xxシリーズなどで同様のベンチチーティングが行われたという情報は出てきていない(ハズ)なのでミッドレンジの比較はantutuを信じて行いますが不信感は拭えないですねぇ
これではSnapdragon845を超えると自称しているKirin980もどうなるかわからないですね。

kirin980はパフォーマンスモード(一般解放されたベンチチートモード)で30万強、一般モードで30万弱というデータが出てきていますが、報道で指摘されたように従来のベンチチートだと性能が1.5~2倍になるハズなので、今回のせいぜい10~20%の性能増というのはちょっと不自然。
考えられるのは
①一般モードはチートしていない。一般開放にあたりパフォーマンスモード(チートモード)の倍率を下げた。
②一般モードでもパフォーマンスモードでもチート機能は動作しているが、一般モードではチート機能の倍率を控えるようにしている。

のどっちかですけど
正直今のHUAWEIだと一般向け解放でチートモードの倍率引き下げをしたというより通常モードにするとベンチチートの倍率を引き下げてるって考える方が自然な気がする

と言うわけで個人的には
32万は今まで通りチートモードの数値
28万が見かけ上の一般モードの数値(当然チートは有効)
で、実際の一般モードの性能は20万前半ってのが正直しっくりくるっすね

Kirin 9xx(920,925,930,935,950,955,960,970,980)
Kirin 7xx(710)
Kirin 6xx(620,650,655,658,659,660)


Kirinシリーズはハイエンドの9xxとミッドレンジの6xxを抑えておけばいいでしょう。


☑MediaTec-X30の失敗と開発中断とPシリーズの躍進-

ハイエンドSoCの世界では完全に遅れを取り、ついにフラッグシップモデルの開発を中止。というか現時点で最高性能であるHelio X30がせいぜいSnapdragon660程度なのでハイエンドシリーズはそもそも存在しないと言ってもいい状態。

ただこの辺の混乱が関係するのかしないのか、値崩れでもしでかしたのか、1.5~2流中華端末(特にタブレット)においてむしろHelio Xシリーズの採用が増えて目にする機会も増えた印象があります。
一方でこのXシリーズをメーカーのフラグシップにしてしまったメーカーは落ち目になっている印象。

一方でミッドレンジ向けの性能向上はめざましく、Pシリーズ最新のP60は既にX30に追いつき追い越しているとも言え、どんだけX30がゴミだったんだというのはおいといて今後に期待が持てると言えます。

まぁそれでも日本向けのアプリで最適化が甘いのは変わらないし、採用してくるメーカーは日本に正規代理店がないものであり、さらにSoC自体現行最新であるP60でさえも、Snapdragon660に明確に優位に立てるようなスコアはないので積極的に選んでいくメーカーではないですね。

Helio Xxx(X10,X20,X23,X25,X27X30)←現在開発中断中
Helio Pxx(P10,P15,P20,P23,P25,P30,P60)
Helio Axx(シャオミ限定?)

☑Apple-iPhoneXS世代 A12 Bionic発表-

値段も性能も、バカ高い。以上です。

端末ネーミングがダサいくらいしか文句つけられんです。
Snapdragon855に期待するしかないですね。



☑ベンチマークスコアで見るSoC

ベンチチートだなんだかんだの問題はありますが、やっぱり客観指標としてはベンチマークが優れていると言わざるを得ません。騙されてるのかそうでないのかなんて議論は少なくともガジェットクラスタの本質と外れていると思うので。もちろん良くないことだと思いますし自分がやられたら黙ってはいられないでしょうけど。

とりあえず手持ち端末のスコアを掲載します。
前回同様スコアは十分時間を離して5回測定し、中央値のものを掲載します。
今回からAntutuのバージョンを上げ、統一しています。


Xperia Z Ultra-Snapdragon800-2014年1月発売

(古い割に)CPUの性能が優秀。810と比べても劣らない。総合スコアが伸びないのはやはりここ数年で進化が大きかったGPU性能の差によるところが大きい。
快適さを示すUXの値は低めだが、正直Z5Pより使っていて快適。サイズ感も絶妙で漫画リーダーとして優秀なので液晶とバッテリーが死ぬまで使い倒す所存。



Xperia Z4 Tablet-Snapdragon810-2015年6月発売

810搭載機種としてはスコアが安定する。タブレットという排熱しやすい形なのが功を奏した形。現状これに勝ちうるAndroidタブレットはシャオミの660搭載機種かGalaxyの835搭載機種。両方とも正規輸入品はないためスルーしているがMiPadにはかなり興味があったりする…


Xperia Z5 Premium-Snapdragon810-2015年11月発売

とにかくスコアが安定しない。同一SoCを搭載しているZ4Tabより排熱に難があるのでCPUの数値が落ちやすい。調子が良ければ11万。ただし意図的にベンチマークを連発し、排熱も机に置くなど劣悪な状態に置くと8万ギリギリまで落ちる。




iPhone7-Apple A10 Fusion-2016年9月発売

今年春にバッテリー交換したiPhone7。このレベルならまだまだ使えるしスマホとしても使えるSuica端末くらいにしか思ってないのでまぁ性能は気にしてない。ただ今でもミッドハイと言えるくらいの性能はあると思う。



Xperia XZs-Snapdragon820-2017年4月発売

820はやっぱり優秀。これで発熱も少ないバッテリー持ちもいいのでXZsは大好きだった。
今は両親の手元にあるが元気なようだ。



iPadPro10.5(2017)-Apple A10X Fusion-2017年6月発売

文句なし。845と同等の性能で現状これで動かないソフトはない。惜しむらくは事実上の勉強専用機になってしまっていること。


Antutuベンチはバージョンが上がって全体的にスコアの数値が大きくなりました。
2014年1月発売、Snapdragon800搭載のXperia Z Ultraでさえ6万点を超えていることからこの辺のラインは最低限確保したいところ。

これをベースに現在発売中の非ハイエンド端末の性能をみてみることにします。
ただし、Apple製品は端末の発売≓SoCの更新ですがAndroid端末はSoCの更新→端末の更新のため、ややズレが生じることに注意してください。例えばSnapdragon820搭載機として掲載しているXperiaXZsですがこれは820末期、数ヶ月後には835搭載端末が発売される時期の端末です。Xperiaシリーズに限ってもSnapdragon820は2016年6月に発売のXperia X Performanceから搭載されています

長くなったので次の投稿に続きます…続きはこちら

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