健康診断と適正配置
✅適正配置とは
仕事を労働者に適応させること?
→仕事を見る(職場巡視)、仕事の内容を知る必要がある。
労働者を仕事に適応させること?
→検診や問診、面談結果や背景要因
労働者と職務の組み合わせで状態は変化しうる。
狭義の『適正配置』
→検診の結果この人(労働者)をこの仕事に就かせてもよいか。
✅就業適性の判断が求められるシーン
いくつかある。
①法令上の規定
労働安全衛生法第68条(病者の就業禁止)
『事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。』
↓
- 病者の就業禁止(労働安全衛生規則第61上第1項)事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない。一 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者二 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者三 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者2 事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。
- 鉛中毒にかかっている者等(鉛中毒予防規則第57条)事業者は、鉛中毒にかかつている労働者及び第五十三条第一項又は第三項の健康診断又は前条の診断の結果、鉛業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた労働者を、医師が必要と認める期間、鉛業務に従事させてはならない。
- 四アルキル鉛中毒予防規則事業者は、四アルキル鉛中毒にかかつている労働者及び第二十二条の健康診断又は前条第一項の診断の結果、四アルキル鉛等業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた労働者を、四アルキル鉛等業務に従事させてはならない。
- その他各種法令で就労の適正が規定されている特殊業務(運転、操縦、乗務、医療、防災、警備)などなど。第三者の安全確保が優先される業務。これに属さないものとして感染症法等に基づく就業禁止、都道府県知事が行う就業制限(Covid-19など)などもある。
が根拠。ある程度クリアカットに切れる。
一方で…
②健康診断の結果に基づいた事後措置
根拠は
労働安全衛生法第66条
『第六十六条の四 事業者は、第六十六条第一項から第四項まで若しくは第五項ただし書又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。』
↓
健康診断の結果に産業医の『医師の診断』『医師の意見』が必要な根拠はこれ。
・医師の意見とは
就業区分
1.通常勤務:通常の勤務で良い
2.就業制限:勤務に制限を加える必要があるもの
→労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の軽減、作業の転換、深夜業の回数軽減、昼間勤務への配置転換などなど
3.要求錠:勤務を休む必要があるもの
→疾病治療のための休業。
この3つのいずれかをつける必要がある
判断基準は社内内規や、各種書籍の基準値などを参考に行う。
③適正判断と雇用継続
疾病による就業規制から
休職、復職、仕事と治療の両立支援まで
✅就業規制を行うにあたって
就労制限を行うべきかどうかの基準は社内基準
又は『適正配置ストラテジー』などの書籍にある程度頼ることになるが…
過剰な就労制限は労働者の働く権利を奪ってしまう。
・治療に非協力的な人
健康診断の結果を元に加療等の推奨、また治療に関する情報提供を行っても治療に対して非協力的な場合…
・説得できず就業させ続ければ
→最終的に悪化して早期退職 またはそこに至るまでに事故
ある程度業務が裁量労働であったとしても、会社側には健康(安全)配慮義務があるので事故が起これば会社はその責を負う。
※判例では産業医が直接責任(過失)を問われていないが、可能性は否定できない。
・説得の例
→就業に関する意見書(治療を条件とした就業許可)を用いる
ポイント
『就業禁止の状況であるが、判定保留として一定期間猶予として受診機会を与える
従わなければ就業禁止と通知』
することで、最初から就業禁止とはしない。
これにより本人に対して
『会社の本意としては受診をさせて本人及び職場の健康上リスクを低減させて、安心して労働できること。就業禁止ではない』と本人に伝える。
受診開始すれば結果が出る前でもある程度就業可とする
・それでも駄目なら
→上司等を交えての面談を組む。などの対策を行う。
そこまでやってもやはり一定数は受領拒否するので、その場合は就業制限/就業禁止を勧する。
産業医判断か人事判断かはケースバイケースだが、人事に任せるのが良いだろう…
✅職場復帰の条件
基本的には
『就労意欲があり、所定労働時間内に勤務が可能になったもの』
を職場復帰の条件とする。
具体的には治療などにより疾患がコントロールできており、安定した心身の状態が確保されていること。また自宅療養で一般生活が可能になっていること。
・段階的な復帰
一気にフルタイムでの就業復帰をする前段階としての就労制限下での復帰は可能。
(これは不調の状態のまま一部業務で復帰させるという意味ではなく、あくまでフルタイムで勤務可能と判断できる職員を段階的に復帰させるための手段)
準備として生活リズムの記録などをつけさせて確認するなどの手段も有効。
・労働と治療の両立支援
労働と治療の両立を支援するための適正配置による職場復帰として
透析患者へのフレックスタイムなどが挙げられる。またCovid-19後はテレワークが様々な疾患(筋骨格系の疾患や神経系の疾患による通勤困難など)の対策となり得る。が。
その業務がテレワーク可能なのか、業務遂行に問題が生じないかを確認するひつようがある。
ただし、疾病利得につながらないよう合理的な配慮を行う。必要以上の譲歩や配慮とならないように気をつける。
・終末期の判断
本人の意思を最大限尊重する。
仕事を続ける意思があるのであれば、最大限安全性の確保に務める。
この場合も在宅勤務(テレワーク)が選択肢となりうる。
・主治医と意見が食い違う…
主治医との意見の食い違いがある場合
→例:こちらは就業制限(治療専念)させたいのに主治医は大丈夫と言ってしまっている…
主治医との連携を強化するか、本人に理解を求めるしかない…?
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿
当ブログの内容は端末の文鎮化を引き起こす可能性を伴う危険なものを含み、投稿主は施行の推奨を致しません。
また、このブログコメント欄、Twitter等で問い合わせ頂いても詳細な内容を記載/返答する予定はございません。
自分で調べる。自己責任。転んでも自分で起きる。ことが出来ない方はコメント前にブラウザバックを推奨いたします。