急速充電環境【QuickCharge,PowerIQ,USB PowerDelivery等】

2017/09/17

 

☑急速充電の定義

本来、USB2.0でやりとりを行う場合の出力は5V-0.5A(=2.5W)であり、これに対して電圧又は電流をあげることで充電速度を向上させるのが急速充電です。従ってこの5V-0.5A(=2.5W)以上の電流を流すことができれば急速充電と言っていいような気がします。

※USB2.0でなければ規格内でもっと大きな電流を流すことが可能です


☑実際に使用されている急速充電

急速充電するには、用はWをあげればいいのです。そのための手段としては、小学校で習ったA×V=Wより、
・電流を上げる(iPhone他)
・電圧を上げる(QuickCharge他)
・規格を変える(USB3.0、USB PowerDelivery他)

こんなもんです。


☑電流をあげる

電流をあげる形での急速充電を実現したものの最たるものがAppleのiOSデバイスで、以前の投稿で紹介したiPad(第4世代)に付属のACアダプタは5.2V-2.4Aという仕様での充電を行うことができます。つまり電流をおよそ5倍程度流すことで本来のUSB規格より5倍の速度での充電が行えるということになります。

また、各種通販サイトで販売されている(AnkerやらAnkeyやらの)Quickcharge非対応充電器の高速充電もほぼほぼこれです。
以前の投稿で紹介したものの中では
・iBUFFALO USB充電器 4ポートタイプ
・サンワダイレクト 50W 6ポート USB充電器 700-AC011WAZ
あとは現在メインで使っているAnker PowerPort+ 3(の、PowerIQポート)なんかはこれに相当しますね。単純に電流を端末やケーブルの限界まで流すことで充電速度を上げています。

世の中には5Vの部分は変えずに5A(規格の10倍!)という充電を行う脳筋とんでも端末/充電器が存在しますが、多くの場合充電器側がスマホ側との通信で電流を制御していたり、スマホ本体に過電流防止のための機能があったりするので実際にスマホが壊れるような大電流が流れることは…ない、はず。


☑電圧をあげる

逆に電圧を上げることによって急速充電を実現しているものの代表がQualcommのQuickChargeになります。これは(もちろん電流も上げつつ)電圧側をあげることで更に高速な充電を可能にするものです。
Qualcomm製の上位SoC搭載機種にのみ実装されている機能で、端末、ケーブル、充電器の3つがそれぞれ対応している必要があります。
※対応端末はQualcommのこのページに掲載されています。

実際の仕組み
・USB2.0
充電側→5V-0.5A→降圧器→4.2V-?A→端末

まず充電側が5Vであっても、スマホのバッテリーを充電する際には4.2Aで行う必要があります。このためスマートフォンなどには降圧器が内蔵されており、5Vを4.2Vまで落とすことができるようになっているのです。

・QuickCharge
充電側→9V-0.5A→降圧器→4.2V-??A→端末

QualcommのQCはこの降圧器をより高い電圧から4.2Vまで落とせるというものなのです。降圧した際の効率などは不明なので実際に流れる電流は不明ですが、最初に大きな電圧をかけている分、端末に渡る電力の絶対量は多いわけで、これによりさらに高速な充電を行うことができるわけです。


☑規格を変える(≓無理なく電圧も電流も上げる)

USB2.0では5V-0.5Aでしたが、これが次世代のUSB3.0では5V-0.9Aでやりとりをするようになっており、USBが規定する電流/電圧が高い世代のものを使用することで給電能力を高めることが出来ます。

これの最たるものがUSB Power Deliveryです。あくまでデータのやりとりとしての規格であったUSBですが、これにより充電用に大電流を流せるようになりました。
最大で電圧20V-5A=100Wでの充電が可能でノートPCの充電にも耐えうる大電流を流すことができます。以前の投稿で取り上げたQC3.0対応充電器の出力が3.6~6.5V-3A、6.5~9V-2A、9-12V-1.5A でせいぜい20W程度であったことを考えると、どれだけ大きな電力を供給しているのかがおわかりになるかと思います。

これに対応した端末は自分が使用しているRazer Blade StealthやASUS Zenbook、Apple Macbookなどがありますね。比較的要求される電力が控えめな薄型端末(最近はあまり使われませんが、以前Intelが定義していたUltrabookに相当するもの)で主に使用されています。

☑まとめ

ポテンシャルを100%発揮した場合…
通常充電<電流を上げる<QuickCharge<USB PD
こういうことですね。しかし当然ながら端末側の対応が必須です。
実際僕のXperia XZsをQCとPD対応充電器で充電した時はQCのが明らかに早いです。
QCにもPDにも対応していない機種であれば、特別な技術を使用していない充電器でも構わない訳ですね。

正しい知識の元で賢い充電器の選び方をしたいものです。

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