各スマホメーカーの写真に対するアプローチ方法の違いとデュアルカメラ搭載について

2018/10/26

☑イントロと用語解説

デュアルレンズという言葉だけが一人歩きし、各メーカーがどういったアプローチをしているのか、その中身について触れてくれる記事が少ないので自分でまとめ。

今回デュアルレンズとして想定したスマホたち
SONY:XperiaXZ2Premium(通常×モノクロ)
Samsung:Galaxynote9(通常×望遠)
HUAWEI:P20(通常×モノクロ),P20lite(通常×モノクロ)
Apple:iPhone8plus,iPhoneX,iPhoneXS(通常×望遠)
HUAWEI:P20Pro(通常×モノクロ×望遠)

-基本用語解説-

画素数:縦×横のいくつの点で画像を表せるか。例えばフルHD(1920×1080)で2,073,600≓207万画素。4Kは縦横それぞれ2倍(3840×2160)なので8,294,400≓830万画素

F値(絞り):一眼などではボケと暗所での撮影に関与。どの程度シビアにピントを合わせるか。(小さいほどシビア)どの程度光を取り込むか(小さいほどたくさん取り込む)に関わる。




☑従来のスマホにおけるズームとボケについての基本事項

①ズームについて
従来のスマートフォンにおいてもズーム撮影はできました。
皆さんが使ってきたスマートフォンにもカメラアプリを開けばズームを行うためのバーなりなんなりがあったハズです

しかしこのズーム、知ってる人にとってはほぼ意味の無いもので、その理由は従来のズームが「デジタルズーム」であるためです。
このデジタルズーム、要は普通に写真を撮って一部を切り取っているだけでズームすればするほど画素数が少なくなるというもので、つまりズームしようが普通に撮って後から編集で切り取ろうが同じ画像が得られてしまうものでした。


②ボケについて。
今までのスマホではボケ味のある写真が撮れないのか?という問いに対する答えはNoです。
ボケ味は出せます。というか出ます。
ただその程度と出せるシチュエーションがとても限られているだけです。

横浜スタジアムでの一枚。これ撮ったのはXperia XZs(単眼)です。
プロバティ見るとF=2,シャッター速度1/2500sec,ISO-40,焦点距離4mmとなってます。

(意図してボカした訳ではないんですけど)程度こそあれみかん氷にピントが合っていて背景もそれなりにボケてます。手前に被写体があり背景との距離が離れている理想的な状況なら従来型のスマホに搭載されているレンズでも背景は多少ボケます。

詳しくは後述。


☑参考:一眼でボケやズームを行うには

今回は一眼の記事ではないので詳しく語るつもりもありませんし、僕はカメラ初めて日が浅いのでガチカメラレンズ沼の住人たちに怒られない程度にサラッとだけ触れます。


まずズーム。ズームって何かと問われれば「視野を狭めること」です。つまり写真の中央だけを見るようにすることですね。
一眼なんかを触ったことがある人ならわかるように、本来(レンズを変えずに)ズーム(光学ズーム)を行うにはレンズを伸ばします。理科の時間に誰もが使ったことがあるルーペ、あれって目との距離を離すと視野が狭まりましたよね?(だからこそルーペの正しい使い方は目に近い位置でルーペを固定するだったハズです)それをイメージしてくださればよろしいかと思います。

スマートフォンの薄さでは普段広角なレンズの距離を変えてズームするなんて芸当は無理なのでデジタルズームでごまかしてきたわけです。



次にボケ。まずボケって何かですが、要は焦点が合っていない状態のことです。ただ当然ながら画面全体の焦点が合ってない状態は目が悪い人が眼鏡付けてない状態なだけで全く意味がありませんのでここでのボケは「メインの被写体だけくっきり、背景をぼかすことで被写体を際立たせること」だとします。
次にボケってどうやって作るのか。これは僕らが本とか新聞とか読んでるときをイメージするといいです。
近くのものをぐっと見つめているときって見ている本の文字なんかはしっかり見えていても後ろのものがしっかり見えませんよね。これと同じことを写真で引き起こすのがボケです。
一眼ではF値をいじったり(ピントが合う幅を狭める)単焦点レンズ(そもそも一定の距離しかピントが合わない特殊なレンズ)を用いることで撮影者の意図した距離だけを綺麗に写し、それ以外のものをぼかしています。

スマートフォンでこれらの機能を埋めようとする。そのためにメーカーが出した答えがデュアルレンズ化だと言えます。


☑各スマホメーカーがどのようにズーム/ボケと向き合っているのか

①ズームについて
1,デュアルレンズ搭載による擬似的な光学ズーム
光学ズームは上で述べたところの、レンズの距離を変えることによってしか実現出来ません。ただこれは単独のレンズのおいての話であり、距離を変えることができないなら元々広角のレンズ、元々望遠のレンズを用いればいいのです。
ある一定のところまでは広角レンズ、そこそこズームしてきたら望遠レンズの方で撮影することにより、単眼でデジタルズームを行った時よりも高画素高画質での撮影を可能にします。
AppleのiPhone、SamsungのGalaxyなどで採用されてます。



2,高画素化によるデジタルズームの荒さ解消
デジタルズームは撮影した後で切り取ったもの、なら元々の(切り取る前の)写真を超高画質にすればいいというアプローチです。一時期のXperiaシリーズは23MP(2300万画素)というアホみたいな画素のカメラを採用していたりしたので、切り取っても画素が少なくなることは少なかったのですが、レンズが小さいくせに画素が多くなることでひとつあたりの光の量がすくなくなりそもそも写真が綺麗にならないというデメリットが広く知られるようになり、最近ではむしろ画素数を絞る傾向にあるので意図的にXperiaミッドレンジやカタログスペック主義な中華端末を選ばない限り出会うことは少ないでしょう。



②ボケ味について
1,望遠レンズ×低F値による正攻法
初めて一眼レフを購入し、ダブルズームキットを購入した人がボケ味のある写真を撮りたいときにするアプローチ、それが「2本のレンズのうちズームレンズを使い、F値を小さく設定して撮影する」です。詳しく知りたい方は適宜ggって欲しいのですが、これにより焦点があう範囲を小さくでき、背景を(単焦点ほどではないですが)ボカすことができます。

スマホでこれを行うには、ハード的にF値を小さく出来る望遠レンズを搭載すればいいという至極単純な話になりますね。
仕組みとしてはカメラでボケを出すときと同じなので、もっとも自然なボケ味を出すことが出来る一方で、この仕組みだけでは後付けのボケ編集などはできません。かつボケを出すには望遠レンズを使うことが必要になるので、被写体との距離に困ることがあるかもしれません。
普段使うときも望遠レンズを使うわけにはいかないので、標準の(広角の)レンズも搭載することになり、結果的にデュアルレンズ構成になります。
上記の「デュアルレンズ搭載による擬似的光学ズーム」を行える端末で基本的に可能なのでAppleのiPhone、SamsungのGalaxyなどで使えます。



2,デュアルレンズ搭載による深度測定用レンズを用いた合成
これはデュアルレンズであることが必須です。2つのカメラで深度を測定して計算で一定の距離にあるものだけにピントを合わせます。要は2枚の写真の合成によりボケ味を再現します。
メーカーの腕によってボケの精度に変化が出る。あくまで合成、編集によるものなのでボケ方そのものがやや自然さに欠ける感があったりしますが、それを覆せる利点として「広角でボケ味が出せる」という点と「後付けでボケの程度調整が可能」というのがあります。
HUAWEIのMateシリーズやPシリーズなどが代表的です。



3,AIによる被写体判定による後付け
現行iPhoneのうち唯一の単眼であるiPhoneXRやGoogleが先日発表したpixel3などでとられているアプローチです。デュアルレンズである必要はありません。
AIが撮影対象と背景の境目を認識することでボケを再現します。
ただこれはカメラの機能と言うよりはものすごく簡単にフォトショなどの編集機能が使えるようになったと言う方が近いかもしれないです。
個人的には

感が出るので正直あまり好きではないです。新型のpixelはまだ触ってないのでより自然になってるといいですね



4,2枚写真撮って合成
あ、おまけです。Xperiaには連続で2枚写真を撮ってAIによる合成を行うことでボケを再現する機能がありました(XZ3にもあるかは知らないっす)
1枚目で普通に撮り2枚目でボケを撮って合成するという2と3の合わせ技の様な機能ですが、実用に耐えないうんちでした。


☑まとめ

長々と書きましたがSony除いてそれぞれスマホメーカーも頑張ってると思います。
正直P20lite触った時にはこれで2万円台かって死ぬ程驚きましたもん。どうせ中心部だけピント合わせるんだろくらいに思ってたら思ったよりずっと綺麗にボケる。ちょっと境界に不自然さを感じることはあってもパッと見たくらいじゃ気付きやしない。

挙動が最も自然だと感じるのはやはり広角×望遠ですがテクノロジーとして面白かったり未来を感じるのは広角×モノクロですね。
デュアルレンズの種類によって出来ることは異なるので、そのへんは次の投稿で詳しく触れます。ではまた。

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