
✅褥瘡の発生
褥瘡が発生する状況として代表的なのが『長期臥床』などの低活動状態で、こういった状態の患者は栄養不良や循環不全などの状態を伴っていることが多い。
褥瘡の治療はこうした全身状態に加えて局所の評価を行いつつ進めていく
✅褥瘡の評価-『DESIGN-R』-
肉眼的な褥瘡の評価方法として『DESIGN-R』がある。
日本における褥瘡評価の標準となっており、簡便かつ評価スケールとして優秀だが
肉眼的である以上外部から評価が困難な深部組織の損傷や不顕性の炎症があった場合評価が難しいというデメリットもある。
の頭文字を取った物。


画像引用:アルメディアWeb
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/part3/03.html
評価の仕方はdを除いて(dは他項目と相関強く他項目で評価済みのため)評価
例えば…d2-e0 s6 i1 g1 n0 p0→13点
DESIGN-Rでは治療期間が長い→重症
という考え方をしているため、炎症や浸出液より大きさやポケット形成の比重が高くなっている。
✅褥瘡の治療開始
まず褥瘡なの?

画像引用:褥瘡診療ガイドライン - 日本皮膚科学会
上記フローチャートのように、まずは病変が褥瘡なのかどうかを判断する。急性期の褥瘡と鑑別されるのは、熱傷や皮膚炎、末梢動脈疾患等…
病変が褥瘡であれば
①急性期の褥瘡か慢性期の褥瘡か
②深さは深いものか浅いものか
この2点から治療を決定する。
褥瘡の治療-DESIGN Rから-
DESIGN-Rから治療につなげる一つの方針として、先に述べたDESIGN-Rで評価を行い、 それぞれの評価項目に合わせた外科治療/創部保護を施行していくというものがある。
✅褥瘡の治療-TIME理論-
TIME理論
2003年 International Advisory Board on Wound Bed Preparationで提唱
治療反応に乏しい創傷を治療に反応する創傷へ変換するためにどのような介入をすべきかという概念。
褥瘡は主に発生から1~3週間の急性期とそれ以降の慢性期に分かれる。
・急性期:組織損傷は軽度、壊死も目立たない。
・慢性期:組織壊死の開始、深度もより深くなる。色調が黒→黄→赤→白と変化する。
TIMEでは主に急性期にそれぞれの項目に対して評価を行い、必要であれば外科的介入/ドレッシング材や外用薬による保護を行う。
特に比較的急性期の評価/治療決定に適しており、慢性期/経時的変化の評価に適するDESIGN-Rと使い分ける
TIMEは
①T:Tissue non-viable or deficient(壊死または不活化組織)
②I:Infection or Inflammation(感染・炎症)
③M:Moisture imbalance(湿潤環境の不均衡)
④E:Edge of Wound-non advanxing or undermined epudermal margen(創縁の治癒遷延・表皮巻き込み)
の略称(詳細は後述)で
DESIGN-Rで評価→TIMEに照らし合わせて治療介入 や
TIMEで開始した治療の経時変化をDESIGN-Rで行う…等の運用が成されている
TIME理論における治療の優先順位
TIME理論に基づいて治療を行う場合
優先順位はT→I/M→Eであり、壊死組織の除去(デブリードマン)が最優先。
DESIGN-Rに基づいて治療を行う場合
優先順位はN→G→SでEIPについては適宜対応とされている。
✅①T:Tissue non-viable or deficient(壊死または不活化組織)
TIME理論におけるTの治療は壊死した組織をいかにして除去するかに相当し、DESIGN-RではN/n(壊死組織の除去)およびE/e(浸出液の制御)にも関わる
基本的な加療は『外科的なデブリードマン』
最優先で行い、感染兆候が見られる場合などでは積極的にデブリードマンを行う。
スルファジアジン銀やハイドロジェルなどで自己融解を誘導するデブリもある
✅②I:Infection or Inflammation(感染・炎症)
TIME理論におけるIの治療は感染制御である。DESIGN-RではI/i(感染)とG/g(肉芽)に相当する。
こちらもまずはデブリードマンで感染組織を切除し、全身に対しては抗菌薬を、局所に対してはヨウ素製剤など外用薬を使用する。
褥瘡は、低活動状態にある患者において、摩擦やすれなどによって皮膚及び皮下組織が損傷した状態。
皮膚が損傷することでバリア機能が失われ、二次的に感染を引き起こす→皮膚の常在菌が起因菌となりやすいが、それ以外の起因菌も多いため、外用薬使用時であっても適切な培養提出から抗菌薬調整が望ましい。
✅③M:Moisture imbalance(湿潤環境の不均衡)
TIME理論におけるMの治療は浸出液のコントロール。DESIGN-RではE/e(浸出液の制御)およびS/s(創傷の縮小)などもこれにあたる
浸出液が少なければ乾燥し、多すぎる場合には感染や浮腫を誘発するため創傷皮膜剤により適切な湿潤環境を整える。
局所陰圧閉鎖療法でも触れたが、急性期の浸出液中には創傷治癒因子やサイトカインが含まれるが、慢性期には少なくなる。
✅④E:Edge of Wound-non advanxing or undermined epudermal margen(創縁の治癒遷延・表皮巻き込み)
TIME理論におけるEの治療はポケット切開や創縁切開による創縁の新鮮化である。DESIGN-RではP/p(ポケット形成の解消)に相当する。
基本的には外科的な処置が必要となる。
✅NPWTci/NPWTi-d
NPWTci
NPWTの中で、洗浄液の持続的な還流とNPWTを同時に行う療法
→持続的洗浄+持続的陰圧負荷により創傷治癒と感染制御を行う。
NPWTi-d
NPWTで、周期的に洗浄液の注入を行う
→間欠的洗浄+持続的陰圧負荷による創傷治癒と感染制御 褥瘡ガイドライン的には『肉芽組織が少ない場合の物理療法として感染・壊死がコントロールされた創には陰圧閉鎖療法を行っても良い』(推奨度C1)となっており、感染創への積極的な適応はないが…
✅その他の評価/治療方法
超音波(エコー)、赤外線サーモグラフィ、バイオフィルム迅速検出ツールなどを用いた検査があるが、まぁあんまりしてないぽい
軟膏や被覆剤はこまかくなりすぎるからまた今度。
✅参考
褥瘡診療ガイドライン - 日本皮膚科学会
褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)-日本褥瘡学会
PEPARS No157(202001)褥瘡治療のアップデート
アルメディアWeb
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/part3/03.html
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